レポート Report

午前中のクラッシュもメカニックの素晴らしい仕事でQ1になんとか間に合う

第6戦の優勝で、ランキングを7位まで上げた#8 ARTA MUGEN NSX-GTは残り2戦でチャンピオンシップ争いに何とか残る事が出来た。ここオートポリスでは、ポイントを多く獲得し、最終戦まで望みをつなげたい。

午前のフリー走行はなかなか良いバランスが見つからず、タイムが伸び悩んでいた。ドライバーが大湯都史樹選手に変わり走行を続けたが、ここで大湯選手がコースアウト、クラッシュしてしまう。右側のフロント部が激しく当たったので、エンジンまで影響が及んでいるかが心配された。

セッションは赤旗で終了したが、車両がピットに戻り、メカニック達は予選に間に合わせるべく、急ピッチで修復作業を開始した。幸いにもエンジンまでダメージは及んでいなかったが、破損がだいぶ酷かったので予選までに修理が完了するかは難しい状況だった。しかし、メカニック達の懸命な作業により、奇跡的にQ1開始5分前に修復が完了した。段取りの良さと作業スピードの速さはさすがプロと言えるだろう。

Q1のアタックは大湯選手。午前のクラッシュは色々な要素が重なってコントロールが難しくなったのが原因だったが、大湯選手は責任を感じていた。コースインして、車が普通に走れたことを確認してから、無線でメカニック達に感謝の気持ちを伝えてアタックへ入って行った。

大湯選手はセクタータイムを削って6番手のタイムを叩き出したが、他の車が次々とタイムを塗り替え、最終的には10番手でQ1を終えた。Q2に進む事は出来なかったが、このような状況でQ1に辿り着けたチーム力は素晴らしいとしか言いようがない。明日は450kmの長距離レースなので、しぶとく戦い表彰台を狙っていきたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「メカニック達の修復作業のスピードと手際の良さは素晴らしかったね。予選に間に合わせてくれた彼らに感謝しかない。Q2へ行けなかったのは残念だったけど、明日のレースは長いので、絶対にチャンスがあると思うので、上位を目指して行きたいね」


土屋圭市エグゼクティブアドバイザーのコメント

「朝から歯車が合わなかったね。車のバランスをとるのが難しかったと思います。明日はシリーズチャンピオン争いに残れるように頑張りたいね」


田中洋克チームディレクターのコメント

「午前のクラッシュの修復に時間がかかってしまいました。メカニック達は本当に頑張ってくれて、予選直前に修復が完了しましたが、調整しきれないまま予選に挑んだので、それがQ1に進出出来なかった原因だったかも知れません。明日はレースが長いのですし、当然レースを諦めている訳ではないので、上位に行けるように頑張ります」


野尻智紀選手のコメント

「結果は残念なところもありますが、車はメカニック達が頑張って直してくれたので、明日は自分が出来る限りのことをして、なるべく多くの車を抜いていきたいと思います。最後まで諦める事なく、頑張ります」


大湯都史樹選手のコメント

「あれだけ車が壊れていたにも関わらず、何とかチームが車を直してくれて走れた事に感謝します。急ピッチで作業していたのもありますが、計算だったり、車のセットなどが行えていなかったので、多少なりともそれがタイムに影響する事も考えられるので、それと選んできているタイヤを含め、この予選には合わせ込めなかった部分があったと思います。全力は出し切れたと思いますが、10番手は悔しいです。この順位ではありますが、決勝の方が今回は自信があるので、順位を上げて頑張って行きたいと思います」

今季2度目のポール・ポジション獲得、明日は気を引き締めて戦います

前回は納得がいかないレースを展開してしまったが、気持ちを入れ替えて、ここオートポリスに乗り込んだ。午前のフリー走行は順調にメニューを消化し、予選、決勝を見据えたセットも良さそうだ。

Q1のアタックは大津弘樹選手だ。大津選手は6番手のタイムを出し、Q2進出を決めた。

Q2は福住仁嶺選手。周りの様子を見ながらコースイン。何と、2番手に約0.5秒の差をつけ、しかもコースレコードを記録してポールポジションを獲得した。見事なタイムアタックだった。

明日は優勝を目指し、チャンピオンシップを有利に進められるようにしたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「仁嶺のアタックは見事だったね。コースレコードまで出してくれて明日は期待出来そう。だけど、距離も長いし、ここは荒れる事が多いので、十分注意しながら最後まで戦いたいね」


土屋圭市エグゼクティブアドバイザーのコメント

「今日ポールを獲得したことで、チャンピオンシップ争いで良い流れを掴めるといいね。車の仕上がりも良いので、驚異的なタイムを出す事が出来たと思います。大津と仁嶺には感謝です。明日は気を抜かずに優勝を目指して行きます」


田中洋克チームディレクターのコメント

「午前のフリーは良くて、持ってきたタイヤとの相性も良く、予選もポールを獲れる思いはありました。実際に獲れるかどうかは難しいところですが、実際ポールを獲ってくれたので良かったです。予選の速さもあったし、決勝のセットのタイムも良かったので、レースは期待できると思います。ライバルの位置も気にしながらチャンピオン目指して頑張りたいと思います」


福住仁嶺選手のコメント

「フリー走行から流れもよく、走り出しから難しいコンディションの中でも車の状況は見る事が出来たと思いますし、予選に向けて深く考える事もなく、走りだけに集中出来ましたし、大津さんもタイヤが違い、難しいコンディションの中で何とかQ1を突破してくれてこういう結果につながったと思います。明日は良いレースが出来るように準備していきたいです」


大津弘樹選手のコメント

「仁嶺がやってくれました。今年2回目のポールで、車も良かったし、仁嶺の素晴らしい走りで良かったです。明日は勝てるように頑張ります」

序盤の接触のためかペース上がらず41周目にリタイア

今朝のオートポリスは晴れていたものの、西側から吹いてくる風が冷たく、気温低下によるコンディション変化が心配された。しかしながら、#8 ARTA MUGEN NSX-GTはウォームアップ走行では好調で、2番手のタイムを記録。微調整を行ってスタートを待った。

スタートドライバーは野尻智紀選手。フォーメーションラップの後にスタートが切られた。クリーンなスタートだったが、野尻選手はポジションを2つ落とし、1周目を終えた。なかなかペースが上がらないので、7周目にピットインしてタイヤを交換、給油をするが、ピットイン直前に300クラスの車両と接触してしまう。フロント左側が少し破損したが、走行を継続する事が出来た。ここで順位は最後尾まで落ちてしまう。

その後、タイヤ交換のためにピットインを行う車が出てきて、野尻選手は10周目には13番手までポジションを戻す。300クラスで接触があり14周目にFCYがだされ、次の周にリスタートが切られたが、ここで大きな順位変化はなかった。

野尻選手はなかなかペースが上がらず、18周目には15番手までドロップしてしまう。コントロールが難しい状態が続いているが、野尻選手は何とかペースを落とさずに周回を重ねた。しかし、41周目のヘアピンで野尻選手はコースアウトしてしまう。グラベルに止まってしまったが、車両を引き出してもらい、ピットに戻った。原因不明の不調により、このまま走行を継続するのは危険と判断し、残念なリタイヤとなってしまった。

残りは1戦。有終の美を飾れるように今から準備をしていきたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「スタートのポジションは良くなかったけど、決勝は抜いて行けそうな仕上がりだったので、この結果は残念です。ペースが上がらなかった原因を突き止めて、最終戦に焦点を合わせて行きます」


土屋圭市エグゼクティブアドバイザーのコメント

「序盤の接触が影響したかも知れないね。チャンピオン争いに加われなくなったのは残念だけど、最終戦でこの8号車がNSX-GT最後のレースを優勝で飾れるように準備していきます」


田中洋克チームディレクターのコメント

「昨日から噛み合わなくて、ウォームアップは良かったんですけど、ロングだとペースが上がらなくて、原因調べないといけないですね」


野尻智紀選手のコメント

「接触の影響があったのかどうか分かりませんが、特にセカンドスティントは全く走れなくなってしまって、何かがおかしいと思って走っていましたが、SCとか出て状況が変化するのを頑張って待っていたのですが、なかなかそうも行かず、コントロールが不能になり、コースアウトしてしまいました。個人的には色々と悔しい部分もありますが、しっかりと原因を探り、最終戦に勝てるように頑張るしかないと思っています」


大湯都史樹選手のコメント

「序盤、集団の中にいて、そこからなかなか順位を上げられず、また接触の影響もあってその後のペースにも響いてしまったのかな?と思います。戦略としては、予定通りの戦略を行えていましたし、そこでの接触したことによりバランスが崩れていなければ良い順位を狙って追い上げられたかも知れないので、悔しいレースではありました。これもレースですし、レースの流れもありますし、自分自身もフリー走行でミスがあったので、今週は8号車として流れを掴めなかったと思います。チャンピオン争いからは脱落してしまいましたが、最終戦では良いレースを展開して、笑顔で終われるレースを皆さまにお見せできるように頑張りたいと思います」

手に汗握るデッドヒートの末2位、最終戦でチャンピオン狙う

レース前のウォームアップ走行のポジションは9番手だったものの、昨日のバランスの良さは維持出来ていて、決勝が期待された。

スタートドライバーは福住仁嶺選手。トップをキープしたまま1コーナーをクリア。順調に周回を重ねていたが、11周を過ぎたあたりからタイヤのグリップが落ち始めてきた。300クラス車両同士の接触があり、14周目にFCYが出される。車両の回収が終わり、次の周にリスタートが切られた。

19周目に福住選手をピットに入れ、給油、タイヤ交換を行い、8番手でコースに復帰。22周目には5番手まで挽回し、ピットインした車の中ではトップを走行。34周が終わったところで全車が1回目のピットインを済ませ、福住選手はトップに戻った。42周目に#8 ARTA MUGEN NSX-GTがヘアピンでコースアウトしてしまい、FCYが出された。翌周には解除されリスタート。

福住選手は順調に周回を重ね、トップをキープしたまま59周目にルーティンのピットインを行い、大津弘樹選手に交代。ミスなくピット作業を終えたが、コースに復帰した時に順位を争っている車2台に抜かれてしまう。しかし、大津選手は翌周の1コーナーで1台を抜き返し、トップの車両を追う。次の周にはトップの車両に追いつき、63周目の1コーナーで実際トップの車両を抜く事に成功。見た目の順位は3番手。

他車もルーティンのピットインを行い、66周目にはトップに返り咲く。大津選手は2番手以下を1秒以上速いペースで引き離し始めた。しかし、ランキング上位の車両が2番手、3番手に浮上し、じわじわと差を縮めてきた。

75周あたりから背後につかれ、デッドヒートが繰り広げられる。大津選手は何とか踏ん張りトップを死守していたが、86周目のヘアピンで抜かれてしまう。しかし、300クラスのラップダウン車両を利用して、大津選手は89周目に1秒以内に迫った。何とか離されないように前を追ったが、終盤は相手のペースがわずかに速く、2番手でレースを終えた。チャンピオン獲得の可能性はまだあるので、最終戦で逆転を狙いたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「ドライバーはこの難しいレースを良く戦ってくれた。優勝出来なかったのは悔しいけど、まだチャンピオンの可能性を残しているので、最終戦に向けて逆転チャンピオンを獲れるように頑張ります」


土屋圭市エグゼクティブアドバイザーのコメント

「見ているファンの人たちにとっては手に汗を握るレースを見られたと思います。我々が勝てれば良かったのですが、皆良く頑張ってくれました。最終戦は勝てるように頑張ります」


田中洋克チームディレクターのコメント

「スピードがあると思ってましたが、レースではまだ足りないところがあるので、最終戦に向けて見つけ出してチャンピオンを諦めないで頑張って戦い抜きます」


福住仁嶺選手のコメント

「スタートを担当して、続けてダブルスティントを走りました。前半でギャップ作ることは出来たのですが、タイヤが磨耗したときのペースとか、セカンドで使ったタイヤが上手くマッチしなくて、もっと後ろと差をつけて大津さんに渡せば良かったのですが、ギリギリのギャップになってしまいました。最後20周くらい耐えてくれて2位になれたのは良かったと思いますし、まだ、チャンピオンの可能性は残っているので、自分がもっと出来るところがあったんじゃなかったのか?とか、問題を抱えているところをフリーから改善出来なかったところもあるので、最終戦はしっかり優勝出来るように頑張ります」


大津弘樹選手のコメント

「ペースは良かったし、最後トラックのコンディションも考えて柔らかいタイヤで走ったんですけど、後半のペースが落ちちゃって抜かれちゃいましたが、守れたところもあったんじゃないかと思っています。頑張ってくれたチームに申し訳ない気持ちです。でも、2位で終われたのは良かったと思いますが、やはり勝ちたかったです」

Round.7 / 2023