レポート Report

チーム予想に反してQ1突破できず、原因究明して明日の決勝に挑む

第3戦の鈴鹿大会が新型コロナウイルスの影響により延期になったため、約2ヶ月ぶりのSUPER GT開催となった。久しぶりのレース開催で、監督、ドライバー、スタッフともに士気があがっている。

昨年11月に行われたツインリンクもてぎでのレースで#8 ARTA NSX-GTは優勝しているので、ここでも良いパフォーマンスを発揮して良い結果につなげたい。

チームは気温が上昇する事を見込んで、午前のフリープラクティスのメニューを消化していった。このコースは抜くことが難しいので予選のポジションは重要だが、決勝のペースも考慮しながらセットを進めた。トップと1秒以内のタイムで上位にはすぐ手が届きそうな雰囲気に見えたが、最終的には中盤のポジションでセッションを終えた。

予選に向けて対策を施し、野尻智紀がQ1に挑んだ。野尻はほぼノーミスで1周を走りきったが、9番手でQ1を終えあとわずかなところでQ2進出を逃してしまった。

午前のフリープラクティスでのロングランのパフォーマンスは高そうなので、明日の追い上げに期待したい。


鈴木亜久里監督のコメント

「予選はなんだかんだ言ってもドライバーが帳尻合わせてきてくれるけど、今回は難しかったね。でも決勝のセットは良さそうだからそんなに悲観していないし、抜くのが難しいコースだと言っても、ポジションは上げていけると思うね。気を抜かずに頑張ります」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「午前の走行は持ち込みセットからバランス調整しながら、全体のグリップを出すようにセットを進めていました。しかし、Q1突破がギリギリになりそうな雰囲気だったので、1発のタイムが出るように予選での車のポテンシャルを上げるように試していましたが、結果的には足りなかったです。予選のデータをまだ見ていないので、何が足りなかったかをこれから検証しようと思います。予選の結果は非常に悔しいですが、我々の車両はロングに向いているので、明日は表彰台に乗れるように頑張りたいと思います」

野尻智紀選手のコメント

「アタック自体は何のミスもなく、現在の車のポテンシャルは出し切れたと思っています。上位陣とは違うセットではありますが、Q1を突破出来なかったのが何が原因だったのかこれから調べますが、Q1は通りたかったな、というのが率直な気持ちです。最近はFCYも導入されたりして十分チャンスも生まれることもありますし、ロングも悪くないので戦略をうまくやれれば上位で帰ってこれると思うので頑張りたいと思います」

福住仁嶺選手のコメント

「フリープラクティスからいくつか問題は見つかっていました。しかし、タイヤやセットを合わせ込めばQ1は普通に通れるだろうと思っていましたが、その考え方は甘かったです。昨年もここで優勝していますし、チームの雰囲気が良かった中でこの結果は悔しいですが、明日は何が起こるか分からないですし、これも自分たちがレベルアップする為の試練だと思い頑張ります」

セット決まらず難しい予選、明日は20番手からポイントを狙う

昨年のツインリンクもてぎでのレースは予選が不調だったが、決勝では何とか挽回してポイントを獲得出来た。今年は真夏に行われるレースなので、暑さ対策も考慮しながら昨年以上の結果を期待したい。

しかし、チームは走り出しから厳しい現実に直面する。開幕から車のバランスは非常に良かったので、そのベーシックなセットで車両を持ち込んだが、思うように上位に食い込めずにいた。午前のセッションは11番手。予想外のポジションだった。

チームは予選に向けてセットをアジャストしてQ1に挑んだ。今回も予選は2組に分けられ、#55 ARTA NSX GT3はA組で、高木真一がステアリングを握った。

高木は前後の車両と間合いを取りながらアタックを開始した。車のパフォーマンスを最大限に引き出した高木だったが、わずかな差でQ1突破はならなかった。

抜くことが難しいサーキットではあるが、セッション中のロングランのラップタイムは速さと安定性があるので、明日のレースは1ポイントでも多く獲得出来るように挑みたい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「昨年から今までが良すぎたのかな?こういう事もあるので、気を落とさずに明日追い上げられるように準備をしていきたいです」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「もてぎは昨年のパフォーマンスが高くなかったので、今シーズン進めているセットアップのコンセプトで持ち込みました。しかし、午前のセッションからパフォーマンスはそれほど高くなくて、低速のところでバランスが合うようにしてしまった感じがします。予選に対して原因である部分を見直してセット変更をしていったのですが、バランス的には改善されたところがありましたが、他のところでパフォーマンスがあまり高くありませんでした。 明日に関してはFCYの訓練中に決勝の方向性が見えたところがあるので、分析して明日追い上げられるようにしたいと思っています」

高木真一選手のコメント

「上手く行かなかったですね。朝の走行からパフォーマンスがそれほど高く無かったので、予選に向けていいだろうと思われるセットを進めたのですが、予想より車の動きが大きく出てしまって上手く走り切る事が出来ませんでした。タイヤ自体はレース向けのものを使ったので、Q1突破はギリギリかな?と思っていたのですが、ちょっとしたミスでQ1を突破出来ませんでした。決勝はポジティブに考えていますし、安定したタイムが出る車だと思っていますので、後方からのスタートではありますが、戦略も上手く組んで1ポイントでも多く獲得したいと思っています」

佐藤蓮選手のコメント

「サーキット入りする前からチームとのコミュニケーションで今回のもてぎは苦戦するだろうという話はしていて、フリープラクティスからなかなか良いタイムを出す事が出来ませんでした。セットアップの変更で何とか予選で上位に行けるよう頑張ったんですけど、セットの方向性で違うところがあったのかも知れないと思いました。ロングに関しては期待出来るところがあると思うので、ひとつずつ順位を上げていけるように準備していきたいです」

抜きづらいもてぎでポジション4つ上げポイントゲット

気温33℃、路面温度51℃という高温の中、フォーメーションラップ2周を消化し、第4戦が始まった。

スタートドライバーは福住仁嶺。福住は慎重にスタートを切り、9番手をキープしたまま周回を重ねる。9周目あたりから300クラスの周回遅れが出始めるが、福住はラップタイムを落とすことなく見事なドライビングを続ける。

15周を過ぎたあたりから前後との差が縮まり、デッドヒートが繰り広げられるが、順位をキープしたまま23周目にルーティンのピットイン。野尻智紀に後半を託した。

野尻は14番手でコースに復帰。27周目にポジションを9番手まで戻す。野尻のペースはよく、29周目には6番手までポジションアップ。更に前車を追う展開となる。40周目まで膠着状態が続くが、その40周目に300クラスの車両が止まってしまい、ここでFCYが導入される。

車両をコース外への移動が済み、43周目にリスタートが切られる。野尻はバトルを展開していたが、前車が300車両と接触し、5番手に浮上。この接触で2回目のFCYが導入される。

47周目にリスタートが切られ、野尻は終盤前車と1秒以内のバトルを繰り広げるが、わずかに届かず、5位でチェッカーを受け、貴重なポイントを獲得した。


鈴木亜久里監督のコメント

「この高い気温の難しいレースでドライバー2人はポイントを獲得してくれて感謝しています。次回は予選からしっかり上位でレースが出来るようにしたいね」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「岡山みたいな力強いレースが出来て、作戦通りに展開出来たのは良かったと思っています。しかし、同じパッケージの1号車が優勝したので悔しさはあります。レースペースは周りと比較すると悪くないけど、まだまだ動きが改善出来るので、ドライバー2人とともにより良い車を作っていきたいと思います。1号車の皆さま、そして昨年一緒にやっていた星さんにはおめでとうと言いたいです」

野尻智紀選手のコメント

「予選から考えると順位を挽回出来たというのはありますが、今回は勝ちにきたレースなので悔しさが残るレースでした。もっと強いチーム作りをやれるようにしっかりやってきたつもりでしたが、今週こういう結果になってしまったので、ドライバーとしてもそうですけれど、チームを引っ張っていく立場として反省すべき点がたくさんあるので、次の鈴鹿は勝てるようにしていきたいです」

福住仁嶺選手のコメント

「このサーキットはなかなか抜けないので難しい展開になると思っていました。ボクは前半のスティントを走ったのですが、順位が変わる事なく、殆ど全車が順位を大きく変える事もないまま前半が終わったと思います。何度か抜けそうなチャンスはあったのですが、ボクのペースもあまり上げる事が出来なかったので、とにかく燃費に気を遣いながら上手く戦略で前に出られるように気を付けながら走っていました。ピットのタイミングで順位を上げる事が出来て、野尻さんの素晴らしい走りで6番手まで上がる事が出来ました。前車のクラッシュもあり、4位まであと少しのところでした。常に課題というのはあると思うのですが、きちんとその課題を解決していかないと予選のようになってしまうと思うので、しっかり鈴鹿に向けて準備をしていきたいです」

猛暑の中追い上げるもクールスーツ故障、佐藤熱中症で戦線離脱

スタートドライバーは高木真一。高木はポジションを2つ上げて、18番手で1周目を終える。8周目あたりから、高木はブレーキの温度が上がってきた事を無線で訴えてきた。高気温の為、クーリングしながらのレース展開となったが、高木はそれでも18周目に1台パスし、他車のピットインもあり、16番手までポジションアップに成功した。

20周目を過ぎてから300クラスのルーティンのピットインが始まる。#55 ARTA NSX GT3のタイヤの状態は良く、23周目にルーティンのピットインでは後輪のみ交換し、佐藤蓮にバトンタッチ。

29周目までに15番手までポジションアップ。バトルを繰り広げながら37周目には14番手にポジションアップしたところで他車が車両破損から火災が発生してしまい、FCYが導入される。40周目にリスタートが切られたが、41周目に最終コーナー手前で500クラスと300クラスの車両の接触があり、再度FCYが導入される。

佐藤は14番手をキープ。43周目に解除され、リスタート。佐藤は安定したペースで周回を重ねるが、50周目に他車と接触して19番手までポジションを落としてしまう。すぐに18番手にポジションをアップするが、大きくラップタイムも落としてしまう。

佐藤は56周目にピットに戻ってきてレースを終えるが、クールスーツの不具合で熱中症を発症していた。無線で状況を伝えられないぐらいの意識が朦朧とした状況だったが、すぐにメディカルセンターへ運ばれ、現在は回復へ向かっている。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「抜くのが難しいこのサーキットで14番手までポジションを上げた事は評価出来るね。原因はまだ分からないけど、クールスーツがオフになっていたようなので、無線で我々がもう少し気を配らなくてはならなかったというのが反省点です。蓮には可哀相な事をしてしまったんだけど、皆このような経験をしているので、良い勉強、経験になったという事で、次の鈴鹿に生かしていきたいと思います」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「セットを大きく変えていきました。良くなった部分もあったのですが、大きく変えてしまったので、全体的にみて裏目に出てしまった部分も多少なりともありました。タイヤの2輪交換などの戦略は上手くいったと思っていますが、全体的なスピードが足りず、ポイント圏内までいく事が出来ませんでした。佐藤選手は最後、ピットに入ってきて朦朧としていたのですが、先程点滴を射って回復しているので、次の鈴鹿はクールスーツの対策もしなければならないと思っています」

高木真一選手のコメント

「予選から厳しい戦いでしたが、20番手から何とか1ポイントを獲りたかったので色々な作戦を考えていました。最初はスンナリ2台抜くことが出来て、その後は集団の一番後ろについて、どこもこの暑さだったので、ポジションも変わってくると思い、落ち着いてチャンスを待っていました。しかし、他の車もタイムの落ち込みがなく、同じようなペースだったので抜くまでに至らなかったので、後半の勝負になると思っていましたので、2輪交換という事でタイヤを持たせて終盤プッシュできればと思っていました。
ボクのスティントではマージン持ちながら、集団に付いていく事が出来たので、後半の蓮に期待していました。この暑さだったので、最後熱中症になってしまいましたが、クールスーツが何らかの原因で効いていなかったようです。最初はペースも良かったのですが、急にタイムが落ち込んできたので、恐らく熱中症になってペースが落ちてきたのだと思います。ボクも3回くらい同じ経験をしているので、ひとつの経験として良い勉強になったのでは無いかと思います。しかし、もう少し無線を上手く使って自分の身を守る事も優先してやらなきゃいけないと思うので、次同じような事があった時はこの経験を生かして欲しいですね。
次の鈴鹿は調子が良いと思いますのでしっかりポイントを獲っていきたいと思います」

Round.4 / 2021