レポート Report

僅差でQ1進めずも明日は表彰台を目指す

今シーズンも終盤を迎え、第7戦は今まで積んでいたウェイトハンディが半減する。#8 ARTA NSX-GTは31kgのウェイトを積んで午前のセッションの走行を開始した。

8月のテストでこのコースを走っているが、その時より車が曲がりにくくなっていた。しかし、そんな状態にも関わらず、4番手のタイムで午前のセッションを終えた。

Q1のアタッカーは伊沢拓也選手。アンダーステアの症状を消す方向でセットを変更しコースイン。前後の車両との間隔を取りながらタイムアタックに入っていった。セッション終了間際までQ2に進めるギリギリのポジションにいたが、最後に抜かれてしまいQ2進出はならなかった。

明日は9番手からのスタートとなるが、車のバランスは良いので表彰台を目指して戦っていきたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「伊沢の走りは悪くなかったんだけど、ここのコースはちょっとしたタイム差で明暗が分かれてしまうので、難しい予選だったね。ここは毎年荒れるし、ウチの車は遅くないから最後まで残ってポイントを沢山稼ぎたいね」

星学文エンジニアのコメント

「走り出しは車が曲がりにくい症状が出てしまったので、タイヤを変えて予選に挑みました。予選に向けてセットをアジャストして、バランスの向上は見られたものの全体的にグリップがもう少し欲しいと思う内容でした。このコースは10分の数秒差で順位が大きく変わってしまうので難しい予選でした。決勝に向けてセットを見直して準備していきます」

野尻智紀選手のコメント

「Q2に進出することが出来ませんでしたが、明日は何があるか、どんな事が起こるか分からないのでチャンスはあると思っています。明日は最低でも表彰台を狙って準備をしたいと思います」

伊沢拓也選手のコメント

「アタック自体はまずまず上手く出来たと感じています。朝から路温が変わったり、午前と種類が違うタイヤを使ったりなど上手くそれに合わせてタイムを出し切れませんでした。僅差ではありますが、そこを詰め切れなかったのが非常に悔しいです。明日は荒れたレースになると思うので、しっかり最後まで走りきって挽回したいです」

チャンピオンシップ獲得に向けた貴重な予選2位

8月のSUGOのテストで初めてこのコースを走り、このコースにおけるセットの課題も見え、前回のオートポリスでは車の良いセットアップを見つける事が出来た。

午前のセッションでは大きくセット変更を行う必要もなく、5番手で終える事が出来た。トップとのタイム差は開いているので、この差をいかに縮めるかが予選での課題だ。

午後の路面温度変化を想定し、車のセットをアジャストして高木真一選手がQ1のアタックを行った。高木はタイヤを暖めアタックに入った。1周目でQ1突破に十分なタイムを出したが、もう一度アタックを行い、2番手のポジションでQ1を終えた。

続く福住仁嶺選手はQ1での高木のアドバイスを受けQ2のアタックを開始した。300クラスの中で最も重いウェイトハンディにも関わらず、福住は高木と同じく2番手のタイムを叩き出し、フロントローのポジションを確保する事に成功した。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「いやー、二人とも速かったね。チームもとても良い車を作ってくれた。全体を見ても最もチームワークが良いんじゃないかな。気を緩めずに、明日もこの良い状態をキープしてチャンピオンシップを有利に進めたいね」

一瀬俊浩エンジニアのコメント

「前回のオートポリスで新しいセットが見つかったのと、8月のテストで見つかった課題を修正して持ち込みました。走り出しからバランスは悪くありませんでした。予選の路温変化などを想定していくつかのセットを午前のセッションで試しました。最後に試したのが良さそうだったのでそれをQ1で試したら、私が想定していたより良かったのでQ2ではトップも狙える可能性も見えてきました。最終的には2位でしたが、トップのJAF-GTとは差がありましたが、FIA車両の中では上手くまとめる事が出来た予選でした。現状のセットはドライでもウェットでも対応出来るように考えているので、明日は上位に残れるようにしたいですね」

高木真一選手のコメント

「前回のテストではあまりバランスが良くなかったのですが、前回のオートポリスからバランスが取れてきました。セットを戻すというか、合う合わないをしっかりと区別、理解し、SUGOに持ち込みました。車はほぼ思い通りの車になりつつあり、温度によりコンディション変化に合わせる事に集中しました。Q1は上手くタイムを出す事が出来ましたし、仁嶺は素晴らしいアタックで2位というポジションをゲット出来ました。JAF車両やマザーシャーシの間に入れたという事は非常に意味がある事だと思うし、明日は天気も悪そうなのでフロントローからスタート出来る事はチャンピオンシップを戦ううえでもとても大切だと思っています。明日はコンディションを気にしながらチーム一丸となって結果を出したいと思います」

福住仁嶺選手のコメント

「8月のテストの内容とオートポリスで得た内容を組み合わせて走ったところ、フリー走行では悪くないポジションで終える事が出来ました。タイム的にはトップと離されていたので、厳しい予選になると予想していました。しかし、高木さんがQ1で良いタイムを出してきてくれて、高木さんのアドバイスによりQ2へ向けてセットもアジャストしたら、2位でQ2を終える事が出来ました。自分自身のアタックも良い感触でしたので、このまま良い流れを維持して明日のレースを良い結果で終えたいです」

タイヤ選択が裏目に、コンディションに合わせきれず

スタート直前になり、小雨が降り始めてきた。徐々に雨量が増えてきたのでチームはタイヤをウェットに変えてスタートを待った。フォーメーションラップが始まる頃には雨足が強くなり始めたので、セーフティーカースタートに急遽切り替わった。

雨量が安定した3周目にスタートが切られた。いくつかのチームはドライタイヤをチョイスしており、ペースが上がらなかったが、スタートドライバーの伊沢拓也選手は一気に6番手までポジションを上げた。しかし、7周目を過ぎたあたりからペースが上がらず、10周目には元のポジションである9番手まで順位を落としてしまう。

ペースは安定していたがスピードが少し足りず、21周目には10番手になってしまった。雨量も徐々に増え始め、ペースが上がらなかったので、少し早めにルーティンのピットインを行い作戦を変更した。

野尻智紀選手は12番手でコースに復帰した。37周目にはコースアウトした車両が出たのでセーフティーカーが導入され、順位は11番手にポジションアップ。42周目にリスタートが切られたが、ペースが上がらず柔らかいタイヤへ履き替える為、53周目に野尻をピットへ入れる。

しかし、コンディションとタイヤがマッチしなかったのか、ペースが上がらなかったので、もう一度ピットに入れてタイヤを履き替えたが、雨量が変わってしまった。1発のタイムは良かったものの、全体的なペースが上がらず最終的に12位でレースを終えた。

ポイントを獲得出来ず、チャンピオンシップ争いからは脱落してしまったが、最終戦は昨年優勝した茂木なので有終の美が飾れるように準備をしていきたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「コンディションと車を上手く合わせきれなかったね。温度、雨量が影響したのだと思うんだけど、選んだものが裏目裏目に出てしまった。最終戦は昨年勝っているので気持ちを切り替えて最終戦に集中します」

星学文エンジニアのコメント

「スタート前に雨が降ったのでウェットタイヤに変えてスタートしました。柔らかめのゴムを選んだのですが、それがこのコンディションに合っていませんでした。1発のタイムは出るものの、レースラップは安定しなかったので、ミニマムでピットに入れました。後半は前半より硬めのゴムをチョイスしたのですが、そのタイミングで今度は雨量が増えてしまい、ペースが上がらなかったので再度ピットインしてもらって柔らかめのゴムに変えました。予選からパフォーマンスが良くなかったので最終戦に向けてしっかり準備していきたいです」

野尻智紀選手のコメント

「厳しいレースになってしまって残念です。今回明らかに何かが良くなかったので、何が良くなかったかを分析して次に向けて準備していきたいです。最終戦は良い形で終われるように頑張ります」

伊沢拓也選手のコメント

「全く良い所がなく、悔しさというより現状を大きく立て直さなければならないと思っています。残り1戦しかないので、しっかり準備をして挑みたいです」

恵みの雨、チームワークでパーフェクトレース。今季初優勝

15:00頃から雨が降る予報だったが、スタート直前に小雨が降り始めた。国歌斉唱が終わる頃には路面も完全に濡れていた。チームはウェットタイヤを選択し、高木真一選手を送り出した。

セーフティーカースタートで3周目にスタートが切られた。このコンディションに車が合っているのか、高木は早くも1コーナーでトップに躍り出る。その後は快調に飛ばし、後続との差を広げる。

30周を過ぎたあたりから雨量が徐々に増えてきたので、セーフティーカー導入によるリスクを避ける為にチームは高木を予定より早めにピットへ入れる事にした。それを決めたのが36周目だったが、ちょうどその時に500クラスの車両がコースアウトしてしまい、セーフティーカーが導入された。間一髪のタイミングでギリギリピットへ入る事に成功し、福住仁嶺選手に後半を託した。

福住は4番手でコースに復帰した。リスタートが切られたと同時に他車がルーティンのピットインを行い、1番手に返り咲いた。序盤は2番手の車両に背後まで迫られたが、タイヤが暖まってからはペースがあがり、危なげない走りで今季初優勝を飾った。福住はSUPER GT初優勝。高木は21勝目を記録した。ランキングはトップのまま最終戦を迎える。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「素晴らしいチームワークだったね。走りもメカニックたちの動きも良かった。この調子を維持してチャンピオンを獲得したいね」

一瀬俊浩エンジニアのコメント

「昨日のドライでのバランスが良かったのでそれをベースプラス、8月のテストのウェットのセットをミックスしました。ウォームアップはドライで、ペースがあまり良くなかったのでドライでもいけるように少しアジャストしました。直前でウェットコンディションになったものの、そのセットでもパフォーマンスを発揮する事が出来ました。ピットインのタイミングも完璧で、ドライバーの頑張りとチームワークで勝てたと思います。最終戦はこの車両が茂木に合っているどうか分からないので、ここで勝てたのは大きいです」

高木真一選手のコメント

「もしこのままチャンピオンを獲れたとしたら無冠のチャンピオンになるところでしたし、まさかここで勝てると思わなかったので恵みの雨でしたね。ブリヂストンタイヤはハーフウェット、フルウェットでも安定したパフォーマンスを発揮してくれたし、チームも良い車を作ってくれたのでこの結果につながったので、皆さんに感謝したいと思います。最終戦はタフな戦いになると思いますが、集中してチャンピオンを獲りにいきたいです」

福住仁嶺選手のコメント

「今回は車も良く、ピットインのタイミングも良く、全てが上手く行って、お陰様で優勝する事が出来ました。僕自身も初優勝する事が出来たので非常に嬉しいです。後半のスティントを担当させてもらったのですが、序盤はタイヤに熱が入るまで2番手の車に背後まで迫られてしまい苦戦しましたが、タイヤが暖まってからは安定したペースで走る事が出来ました。終盤は500クラスの車両と同じペースになってしまい、周回数の関係から燃費走行を強いられました。途中500クラスの車両に追いついてタイムロスをしてしまい焦りましたが、燃費の心配がなくなったと無線が入ったので燃費走行をやめて速いペースで最後まで走り切る事が出来ました。亜久里さん、土屋さんのアドバイス、高木さん、チーム、ブリヂストンさん、ホンダさん、その他オートバックスさん、ご支援くださった皆さんのお陰ですので、最終戦をしっかり戦ってチャンピオンを獲って恩返ししたいです」