レポート Report

予選は8番手だが、決勝でのパフォーマンスに自信

灼熱のタイでSUPE GTのレースが行われるのは今年で6回目だが、今朝はタイとは思えないほど涼しい風が吹く中でフリー走行が始まった。予選と決勝のセット確認を行い午後の予選を迎えた。

Q1のドライバーは野尻智紀。40kgのウェイトハンディを積んでいる車でQ1を突破出来るか、そしてライバルはどのくらいのパフォーマンスを発揮してくるか全く読めないQ1だったが、野尻は見事にトップタイムを出してARTA NSX-GTの速さを魅せつけた。

続くQ2は伊沢拓也がアタック。走行前に車を少しアジャストしたのが裏目に出たのか、8番手でQ2を終えたが、トップとのタイム差は僅差。決勝でのセットは手応えを感じているので、明日は上位進出を期待したい。


鈴木亜久里監督のコメント

「野尻は車の性能を最大限に引き出してくれたね。伊沢のタイムも悪くないんだけど、ちょっとした要素で順位が変動してしまうとてもハイレベルな予選だったね。明日はとても面白いレースになると思うので、その中で我々が主役でいたいね」

星学文エンジニアのコメント

「重たい割には車のパフォーマンスをしっかり引き出せていたのか、午前のセッションではそれほど悪くなかったです。伊沢くんはQ2で8番手でしたが、コンディションが上がってきたところで車を合わせきれなかったというのがあるので、次のレースに向けてもコンディション変化を予測するところも考えていかなくてはならないと思いました。しかし、車はQ1でトップでしたし、決勝のセットも良さそうなので明日は良い結果につなげたいと思います」

野尻智紀選手のコメント

「あまり好印象の無いタイで、朝の走行もしっかりと準備が出来てある程度車の手応えもあったのでQ2へ駒を進める事が出来ました。スタートのポジションは8番手ですが、レースのセットの確認も出来ていますし、パッシングポイントもありますので、粘り強く戦えばより多くのポイントを獲得出来ると思っています。そしてシリーズ争いでも重要なレースだと思いますので、1点でも多くポイントを獲得したいです」

伊沢拓也選手のコメント

「トップでバトンを渡してもらったのに、8番手というポジションを終わってしまったので明日は挽回出来るように頑張ります」

初めて挑むコースをチーム力で補い5番手獲得

今年からNSX GT3で戦っているARTAだが、この車両でこのサーキットの走行は初めてだ。過去のデータも参考にならないうえに、ハンディキャップウェイトが57kgという状況で、ドライバーとチームがどの程度車のパフォーマンスを引き出すかが見どころだ。また、福住仁嶺はこのサーキットを走行するのが初めてだが、適応能力の高さもここで見てみたい。

午前のフリー走行で予選と決勝のセッティングを進め、Q1が始まった。

Q1は高木真一がアタック。ウェイトハンディが重い中で、高木はQ1を突破することを目標に置いていたが、いざ走ってみるとアンダーステアが強く、コントロールが非常に難しかったようだ。しかし、そこはベテランの高木。何とか車のパフォーマンスを引き出し、12番手でQ1突破に成功した。

Q2が始まる前に高木はチームに車の症状を伝え、改善策を練った。それが功を奏したのか、Q2の福住は初めてのサーキットにも関わらず、この重さで5番手のタイムを叩き出し適応能力の高さを魅せつけた。まさにARTAの総合力の高さを見る事が出来た予選と言えるだろう。

明日はこのウェイトハンディがどの程度ブレーキやタイヤに影響するか分からないが、上位でフィニッシュし、日本に帰国したい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「NSX GT3で初めてのコースで、ウェイトが57kgという中で予選5番手は上出来だね。仁嶺も初めてのコースなのにしっかりタイムを出してきたし、良い雰囲気だね。ここでポイントを重ねて後半戦に突入したいね」

一瀬俊浩エンジニアのコメント

「この車をこのコースで走らせるのは初めてだったので、このコースの特徴と、今まで走ってきた中で良さそうなところをピックアップして車を作ってきました。今まで課題だったところを別のアプローチをしてみたら、それが良かったみたいで、タイムを見ても重たい割には良いポジションを得られたので、それを更に進めて予選に挑みました。Q1は気温が上がった事もあり、エンジン的にも辛かったというのとニュータイヤを履いた時のバランスを改善出来ていなかったという事もあり、Q1を突破出来たものの、車のパフォーマンスをしっかり引き出す事が出来ませんでした。Q2に向けてバランスだけ合わせる作業をしたらタイムも出てきたので、57kg積んでいる中では良いパフォーマンスだったのかな、と思います。明日はタイヤもここに合っていると思うので、それを生かして上位でチェッカーを受けられればと思います」

高木真一選手のコメント

「NSX GT3で走るのは初めてですし、仁嶺もここを走るのは初めてなので色々と様子を見ながら朝の走行を行いました。予選は午前のセッションよりワンランク上のセットで走りましたが、それが想定していたとおりにならなくて、ボクが走行した時はアンダーステアが強くなってしまいました。Q2までにそれを補正してもらったら凄く良くなりました。これはチームの分析力の高さ、速さもありますし、仁嶺もそれに対応出来る能力と、ブリヂストンタイヤのおかげでウェイトが重たい中でこのようなポジションを得られたと思います。これを無駄にしないように明日確実に結果につなげていきたいと思います」

福住仁嶺選手のコメント

「Q2を担当させてもらいました。高木さんのQ1は12番手だったのですが、高木さんとチームがQ2が始まる前までに車を改善してくれて、良い状態でQ2を走る事が出来ました。車はウェイトが57kgも積んである割りには操縦性が向上していて、なんとか5番手のタイムを出す事が出来ました。このポジションは高木さんのアドバイスとチームが車を改善してくれたおかげだと思っています。明日も良い結果を残せるように頑張ります」

マシンバランスは良かったが、序盤のスピンと不慮の接触でチャンス失う

いつもなら1日に1回はスコールが訪れるチャン・インターナショナルサーキットだが、今年は、週末を通して大きな雨は一度も無い。決勝もドライコンディションでスタートが切られた。ドライバーは伊沢拓也だ。

伊沢は1周目にインフィールドで1台を抜き、7番手で戻ってきた。しかし、次の周にスピンをしてしまい、最後尾まで順位を落としてしまう。しかし、このあと、6周目時点でファステストラップを叩き出し、10周目にはひとつポジションを回復。伊沢はトップグループの車とほぼ同じか、それより速いラップで前車を追っていくが、前車に追いついてからは全車ほぼ同じペースで膠着状態となり、チームは早めにルーティンのピットインを行う事に作戦を変更した。伊沢は25周目にピットイン。野尻智紀に後半を託した。

野尻は15番手でコースへ復帰。2周後には14番手にポジションを回復し、全体の中でも1分26-27秒台という速いラップで前車を追っていく。しかし、36周目に入ったところで前を走る2台が接触し、それに巻き込まれるかたちで野尻はここでスピンを喫してしまう。野尻は再スタート出来ず、残念なリタイヤとなってしまう。次は得意な富士なので、大量得点を獲得したい。


鈴木亜久里監督のコメント

「うまく流れを掴めなかったね。少しでもポイントを獲得しておきたかったので残念ですが、明るい材料としては車のバランスが良かったし、ペースも悪くなかったので、次回の富士は500マイルという長距離レースでポイントも多めに与えられるので大量得点を獲得したいね」

星学文エンジニアのコメント

「ウォームアップ、レースと車のバランスは非常に良くて、レクサスに近いところで戦えていたと思います。しかし、序盤のスピンと後半の接触で結果は出せませんでしたが、前述したとおり、バランスは良さそうなので良いイメージで富士に挑めそうです」

野尻智紀選手のコメント

「昨日のフリー走行、予選から良いセットアップが出来たと思います。レースではボクのスティントで、「さぁ、ここからだ」という時に接触してしまい、リタイヤしてしまったのは非常に残念です。しかしながら、車のバランスは良いので、次の富士で大きなチャンスがあると思いますので、また頑張りたいと思います」

伊沢拓也選手のコメント

「結果的にリタイヤになってしまいましたが、序盤でスピンしてしまい流れを変えてしまった事が大きな反省点です。ここで少しでも多くポイントを獲得するつもりだったので、チームや野尻に申し訳ない気持ちです。次回、挽回出来るように頑張ります」

難しい条件下でも貴重なポイント獲得

決勝前のウォームアップランは、バランスとレースセットの確認を行い灼熱の中でスタートを待った。

スタートは高木真一だ。高木は1周目順位をキープしていたが、2周目にオーバーランしてしまい4つポジションを落としてしまう。ブレーキのABSの制御システムのレベルが低く、なかなかペースが上がらないようだ。高木はABSの効き具合が悪い中、何とかペースを保ち周回を重ねていったが、順位を落とさずに走るのが精一杯。ハンディウェイトや高温の影響もあり、高木は我慢の走行を続ける。

33周目あたりで500クラスの数台が接触してしまい、セーフティーカーが導入される可能性があったので、ここで急遽ピットインを行う事になった。

タイヤのコンディションが良かったので、2輪のみのタイヤ交換となったが、ピットインの時間が短かったので、福住仁嶺はクールスーツを着用せず後半戦に入っていった。福住は12番手でコースへ復帰。既にセーフティーカーが導入されていて、福住はタイヤを暖めつつブレーキを冷やす事に専念した。

40周目に再スタートが切られた。福住はうまくスタートを決めて、2周後には9番手まで順位を上げる。

しかし、福住は50周目あたりから暑さとドリンクが無くなった事を無線で伝えてきた。暑さと喉の乾きでドライブがだいぶ苦しいようだが、ペースを落とさずに周回を重ねる。無線を聞いていると福住は脱水状態が出ているようだ。終盤は少しペースが落ちたものの、10位でチェッカーを受け、貴重なポイントを獲得した。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「57kgのウェイトとBOPでポイントを獲得出来ると思っていなかったので上出来だね。仁嶺もクールスーツを着ないで、ドリンクも無くなったのに良く頑張った。次は大量得点を狙いたいね」

一瀬俊浩エンジニアのコメント

「昨日からバランスは良かったので、タイヤを持たせるような方向で考えていました。しかし、温度が上がった事でレースラップのペースが想定していたより上がりませんでした。ウォームアップでそれを感じていたので、どうやって少しでも順位を上げるか考えていましたが、想定通りタイヤの持ちが良かったので2輪交換で何とか仁嶺を送り出す事が出来ました。作戦的には機能して何とかポイントを獲得出来ました」

高木真一選手のコメント

「今回、レースでの車のポテンシャルはあまり高くないと感じていたので、1点でも多くポイントを獲れるように頑張りました。燃料が軽くなればバランスはとても良くなるのがわかっていたので、そこまで我慢しながら走るようにしました。ボクが多めに走る事で、仁嶺も軽い燃料で後半戦を戦えると思ったのですが、セーフティーカーが良いタイミングで入ってくれました。現状、ハンディウェイトやBOPの事を考えると、ポイントを獲れて良いレースができたんじゃないかと思います。これもチームとブリヂストンタイヤのおかげだと思います。タイヤの持ちも良かったので、2輪交換でピットストップ時間も短縮出来ました。次回もポイントを獲得出来るように頑張ります」

福住仁嶺選手のコメント

「2輪交換でクールスーツなしで後半戦を走る事になりました。残り25周くらいだったので、大丈夫かと思いましたが、非常に辛かったです。後ろ2輪交換だったのですが、さほどバランスも悪くなくて、ペースも落とすことなく安定して走る事が出来ました。しかし、BOPでブーストが落とされて、ストレートがのびず、コーナーの出口でスピードが乗らず、更に次のストレートにも影響が出るので、終盤タイヤが辛くなってきた時に後ろを抑えるのが大変でした。そんな状況でもポイントを獲れたので良い仕事が出来たんじゃないかと思います」