レポート Report

交流戦のルールに戸惑うも明日につながるパフォーマンス

2010年からSUPER GTとDTM交流について話し合われていたが、車両や規則面でのすり合わせが続いていて、ようやく実現する事になったのが今回の特別交流戦だ。10月には既にDTM最終戦でSUPER GTの車両がドイツのホッケンハイムに参戦し、ようやく交流戦が実現した。

そして舞台を日本の富士スピードウェイに移し、オートバックス45周年記念イベントとして開催される。出場車両はSUPER GTから15台、DTMからはアウディ5台、BMW2台の合計7台でレースが行われる。

レースフォーマットはDTMに合わせ55分+1周のレースで、周回数が定められている日本のレースとは違う。また、日本ではブリヂストンを始め、数社のタイヤメーカーがタイヤを供給しているが、DTMはハンコックタイヤのワンメイクだ。更にドライバー交代はなく、一人のドライバーでレースが行われる。レース中の給油は無いものの、タイヤ交換は義務付けられている。スタート方式もインディスタートと言われる方式(2列に整列して前後左右の車間距離を縮めた隊列でのスタート)で行われ、ローリングスタートではあるが普段のレースとは違うスタイル。

一方、DTMではプッシュトゥパス(いわゆるオーバーテイクシステム)とDRS(ドラッグリダクションシステム/電子制御でダウンフォースをコントロールするシステム)が使用されているが、このレースでは禁止されている。

両カテゴリーのチームとドライバーがどのように順応し戦っていくかが見どころだ。

ARTAは土曜に行われるRace1に伊沢拓也選手、日曜に行われるRace2に野尻智紀選手で戦う事になった。

予選はSUPER GTのノックアウト方式とは違い20分間のタイムアタック。

今回のARTA NSX-GTはシリーズ中のカラーリングを変更し、高級時計CVSTOSとのコラボレーションによるカラーリングでの出場となった。カーボン地を基調としたシックなカラーリングだ。

伊沢はARTA NSX CVSTOSのカラーリングでトラックのコンディションを見ながらタイムアタックのタイミングを見計らっていた。

今回のコントロールタイヤであるハンコックタイヤはタイヤのサイドウォールに”HANKOOK”のロゴが刻まれている。ブルーの文字はウェットタイヤで、白ベースの文字がプリントされているのがドライタイヤだ。

伊沢はブルーの文字が入ったタイヤでコースイン、タイムアタックへ入っていった。伊沢のセクタータイムは良かったが、第3セクターで他車に走行ラインを阻まれてしまい、ここでタイムロス。13番手で予選を終えた。他車に引っかかっていなければ5番手くらいのタイムが出そうだったので、非常に悔しいアタックとなった。

そして午後の決勝。スタート直前は霧雨が降っていたが、伊沢はドライタイヤを選択してインディスタートが切られた。伊沢は好スタートをきめて1コーナーまでに2つポジションを上げた。しかし、その後のヘアピンでスピンを喫してしまい順位を落としてしまう。タイヤが暖まってなかったようだ。すぐにリスタートを切った伊沢は最後尾までポジションを落としていたが、速いラップで前車を追い10周目までに17番手までポジションアップ。

徐々に前の集団に追いつき始めたが、混戦を避ける為に14周目でタイヤ交換のピットインを行った。タイヤがフレッシュになった伊沢はハイペースで24周目までに12番手までポジションを回復。しかし、徐々にフロントタイヤのグリップが落ちてきてペースを上げるのが難しくなってきたが、ここで他車がストレートで止まってしまい、車両回収の為に30周目にセーフティーカーが導入された。

車両の回収が終わった32周目にインディスタートでリスタートが切られた。伊沢はクリーンなスタートを切ったが、タイヤのグリップダウンが激しく15位でレースを終えた。


鈴木亜久里監督のコメント

「車は速かったから結果は残念だったけど、内容は良かったね。このレースはスタート方式もレースのルールもなかなか面白かったね。DTMのチームも速かったし、面白いレースが出来たんじゃないかな?ウチが上位に来ていればもっと面白かったけど、明日はもっと面白くなるように頑張ります」

星学文エンジニアのコメント

「予選は全てのセクターをつなげれば上位に行けるペースでしたが、他車に引っかかってしまいました。ペースは悪くないので決勝はコンディション次第では上位に行ける手応えがありました。ハンコックタイヤのタレ具合が読めなかったので戦略的に迷うところはありましたが、1周目のヘアピンで順位を落としてしまったので、なるべくクリアラップで走るために早めにピットに入れました。パフォーマンス自体は非常に良かったので明日につなげたいと思います」

伊沢拓也選手のコメント

「予選はウェットタイヤで出ていって、他の車に引っかかってしまって思うようにタイムを出せませんでしたが、20分間の予選は2回アタックも出来ましたし、自分としてはこちらの形式の予選の方が好きです。決勝は1周目にスピンしてしまいましたが、その後のペースは非常に良くて順位も挽回出来ました。普段のレースとは違うカタチでレースは初めてづくしで新鮮さもあり非常に楽しめました」

ペースも良く追い上げていただけに残念な結果

イベント2日目は霧雨の予選で始まった。昨日の伊沢選手はフロントタイヤのグリップが足りなかったので、それを修正するセットに変更しウェットタイヤで野尻智紀選手はアタックへ入っていった。クリアラップを取れたものの、コンディションに合わせきれなかったのか、上位のタイムは出せず12位で予選を終えた。

決勝レースが始まるまでに天気は回復し、ドライコンディションでスタートを迎えた。野尻選手は初めてのインディスタートを慎重にこなし、1周目で12番手から9番手までポジションを上げる。翌周は更にひとつポジションを上げて8番手に浮上。ラップタイムは速く、表彰台も狙えそうなスピードだ。周回を重ねる間にDTM車両のタイヤがバーストしてしまう。その時の衝撃で車のパーツがコース上に脱落し、9周目にセーフティーカーが導入される。

既にリヤタイヤのコンディションが落ちている野尻選手は早めのピットインを要求したが、終盤のタイヤのライフを考えると、タイヤ交換は先延ばししたい。

11周目にリスタートが切られ、翌周にタイヤ交換でピットインする車両が出てきた。野尻選手のペースは良く、5番手までポジションを上げた。15周目でタイヤ交換のためにピットインした。

19番手でコースに復帰した野尻選手はニュータイヤでペースが非常に速く、1周毎にポジションをひとつずつ上げていくが、ここでまたしてもDTM車両がタイヤバースト。またしてもセーフティーカーが導入される。このタイミングで数台の車両がタイヤ交換の為にピットイン。22周目には8番手までポジションを上げた。

25周目にリスタートが切られたが、その周回のコカ・コーラコーナーでSGT車両に後方から接触されコースアウト。再スタートを切る事が出来ず残念なリタイヤとなってしまった。タイヤ交換後のペースが速かっただけに非常に悔しい結果となってしまった。


鈴木亜久里監督のコメント

「昨日も今日もレースでの車の仕上がりは良かったと思う。しかし、それを結果につなげられなかったのが残念。違うフォーマットのレースは新鮮さがあって面白かったし、DTMと交流出来たのは良かったけど、もっと詰めていかなければならない事があるので、また交流戦を行う場合は全体で早め早めの対応や準備をしていかなくてはならないね」

星学文エンジニアのコメント

「予選は昨日の朝も同じようなコンディションだったので、昨日のセットを参考にタイヤの内圧も決め込んだのですが、セットがずれていたのか思ったほどパフォーマンスが上がりませんでした。決勝は昨日のレースではフロントタイヤが辛かったので、今日はフロントタイヤに負担がかからないようにセットを変更しましたが、今度はリアがきつくなってしまったようです。でも野尻は頑張ってペースを維持しながら走ってくれていたので、上位でフィニッシュできると思っていましたが、アクシデントに巻き込まれてしまい最後まで走り切れませんでした。新たな経験が出来たのは良かったですが、最後は悔しかったですね」

野尻智紀選手のコメント

「予選はこのタイヤをまだ理解出来ていないので、タイヤが原因なのかコンディションによるものなのか分かりませんが、うまくタイムが出せませんでした。もう少し理解が深ければもう少し前のポジションに行けたと思います。レースはいつもとは一味も二味も違うレースになりました。予選のポジションが後ろだったので、ちょっとリスクを持って追い上げなければならなかったのですが、インディスタートをうまく利用しながら順位を上げていくことが出来ました。しかし、終盤接触により最後まで走りきれなかったのは残念ですが、新たな経験も出来て、このレースを開催までご尽力下さった全ての皆様に感謝します」