レポート Report

セット決まりQ1もトップ通過で見事ポールポジション

6月にここSUGOで公式テストが行われたが、ARTA NSX-GTは非常に好調だった。しかし、この時季としては気温が低く、果たして7月のレースでこのテストデータが役立つか不安があった。

チームは6月のテストデータを基に車のセッティングを決めて、今朝のセッションに車をコースに送り出した。序盤はタイヤやセッティングの比較評価を行いながらセットの確認を行った。最終的には2番手のタイムでセッションを終え、予選が期待された。

Q1のアタックは小林崇志選手。天候の心配もあったので小林は早めにアタックを開始した。1分11秒台のタイムを出しQ1を見事トップで通過した。

プレッシャーが高まる中、Q2に野尻智紀選手がアタック。野尻は最後にコースインをして、後方から迫ってくる先頭車両の距離を無線でチームに確認しながらアタックに入っていった。

野尻は各セクターでベストタイムを刻み、1分10秒台のタイムを叩き出し、今季2度目のポールポジションを確定させた。


鈴木亜久里監督のコメント

「ドライバーは二人とも良く頑張ってくれた。タイムを出せると周りから言われながら、こうやってキッチリタイムを出してくる事は凄い事で、評価出来る内容の予選だったと思うね。SUGOでGTカーが1分10秒台で走るって事は凄い事で、エンジニアもメカニックも良く車を創ってくれたと思う。明日もこの好調さをキープして結果につなげたいね」

星学文エンジニアのコメント

「今回は新たなセットを施して車を持ってきました。最終的には6月のテストのデータが大きな役割を果たしましたが、午前のセッションが終わった時点でもう少しセット変更をしたかったのですが、小林の走行でもポジションが悪くなかったので、微調整だけ進めて小林をQ1に送り出しました。他より軽いというのもありますが、何とかトップで帰ってきてくれました。野尻も完璧なアタックをしてくれて何とかポールを獲る事が出来ました。明日はこのポジションを活かし、戦略を組みたいと思います」

野尻智紀選手のコメント

「ポールポジションを獲れたのは車が非常に良かったという事もありますが、開幕前からチームの和なども意識して皆んなで築いてきて、色々な意味で良いコンディションでここに来る事が出来ました。今朝はちょっとしたトラブルもありましたが、そこからすぐに立ち直る事も出来て、チームは完璧な仕事をしてくれたと思います。明日は難しいレースになると思いますが、この勢いをキープして、気を引き締めて戦っていきたいと思います」

小林崇志選手のコメント

「前回のレースで残念な結果になってしまいましたが、SUGOのレースが始まる前に2回のテストを消化し、車の状態も向上してきました。僕自身もドライビングで色々と試す事も出来てレベルアップも出来たと思っていたので、今回は絶対にポールポジションを獲るつもりでいました。僕も野尻も予選のセッションでトップを獲る事が出来、目標を達成出来たと思います。しかし、明日勝たないと意味が無いので、しっかり準備をしてブッチギリで勝ちたいと思います」

セット決まらず赤旗中断もあり後方に沈む

午前のセッションは高木真一選手とショーン・ウォーキンショー選手で頻繁に交代しながら、セットのチェックを行った。バランスは良いものの、なかなか納得の行くタイムが出ないので、Q1はコースに慣れている高木が担当する事になった。

予選前に雨がパラついていたので、高木は早めにコースインしてタイムアタックを開始した。計測2周目にベストタイムを出すべくアタックを開始したが、他の車両のコースアウトにより2周目のアタック中に赤旗中断になってしまった。セッションは再開したものの、最初のアタックでタイヤを使い切ってしまったためこれ以上タイムを伸ばす事が出来ず22番手でQ1を終え、残念ながらQ2進出は果たせなかった。

明日は後方からのスタートになるが、上位進出をかけて準備をしたい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「今回はセットの方向性が良くなかったかな?セットは大きく外していないと思うので、微調整すればトップグループのレベルになると信じています。明日までに分析して挽回出来るように準備します」

安藤博之エンジニアのコメント

「6月にSUGOと鈴鹿でテストしたデータを基に、そしてタイヤも少し変更があったのでそれに合わせてセットを決めました。バランス的には大きくズレていませんが、パフォーマンスの高さはトップに比べると遅れていると言わざるをえない状況です。今回の予選の結果を見るともう一度見直す必要があると考えています」

高木真一選手のコメント

「雨が降ると思って、早めにアタックを開始しましたが、それでタイヤを使い切ってしまいました。運が悪かったと思いますが、きちんとアタック出来たとしても、Q2進出はギリギリだったと思います。タイヤの使い方やセットを含め、色々と考え直します。後方から追い上げて6位以内に入りたいと思っています」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「明日は22番手からスタートで難しいレースになりますが、車のバランスは良いですし、タイヤも良いので、戦略を上手く組み立ててポイント圏内までポジションを上げられるように頑張りたいです」

波乱のレース、不運も重なりペース良くも5位

スタート直前は雨が降ったり止んだりで、チームはタイヤチョイスに悩んでいたが、ポールポジションからのスタートなのでギャンブルをする必要もなく周りのチョイスに合わせ、ウェットタイヤを履いて野尻がスタートを切った。

野尻は序盤ペースが上がらず、3周目までに3番手までポジションを落としてしまう。その後、他車のクラッシュがあり、このレース最初のセーフティーカーが入った。5周後にリスタートが切られ、タイヤが暖まった野尻はペースも良く、前車をどこで抜くか探っていた。

しかし、10周目の馬の背コーナーでスピンを喫してしまった。すぐに復帰したものの、10番手までポジションを落としてしまった。

車にトラブルは無く、トップグループを凌ぐ速さでラップを重ねた。スティント終盤には順位を7番手まで挽回したが、ここでまたクラッシュが発生し、セーフティーカーが入る。セーフティーカーが戻り、リスタートのタイミングでルーティンのピットインを行った。小林は9番手でコースに復帰したが、ここでまた他車のクラッシュがあり、このレース3回目のセーフティーカーが入った。しかし、ここでセーフティーカーが入ったタイミングが悪く、ARTA NSX-GTはラップダウンになってしまった。

しかし、リードラップに残ったのはトップ2台だけなので、順位を挽回出来れば表彰台の可能性はある。小林はプッシュし、58周目までに表彰台一歩手前の4番手まで順位を回復した。3番手を走る車との差を徐々に縮めていたが、後ろからトップの2台が迫ってきてブルーフラッグを振られてしまい、2台に進路を譲った。その間に5番手の車が直後に迫ってきてしまい、残り2周で抜かれてしまい、5位でレースを終えた。ミスもあり、レースの組み立てが非常に難しいレースだったが、車のバランスはトップグループの仕上がりだと思うので、次回もトップを目指して戦いたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「セーフティーカーが何度か入るのは予想してたんだけど、今回は回数が多かったね。2度目のセーフティーカーの時にタイミング悪く周回遅れになっちゃったんだけど、それでも表彰台を狙えるチャンスはあったからプッシュしたんだけど厳しかったね。これでシーズン半分終わっちゃったけど、次回以降も勝利を目指して挑戦しつづけます」

星学文エンジニアのコメント

「ポールからスタート出来るので、有利にレースを運べると思っていました。スタート直前で雨が降り始めたのでタイヤの選択に迷いましたが、殆どの車両がウェットタイヤをチョイスしていたので、ポールスタートを考慮すると周りに合わせる事がベターと考え、その判断は良かったと思っています。ペース自体は悪くなかったのですが、野尻がスピンしてしまいました。すぐに復帰してからもペースは良くてすぐ前の集団に追いつく事が出来ました。今回はセーフティーカーの導入が多く、2回目の時は入ったタイミングが悪く、周回遅れになってしまいました。後半の小林も終盤頑張ってくれて表彰台のチャンスもありましたが、トップグループが迫ってきたので進路を譲り、前を追うことが出来ませんでした。車のバランスは良いので、気持ちを切り替えて次のレースに挑みたいです」

野尻智紀選手のコメント

「結果としては望ましいものではありませんでした。SUGOは色々なレース展開がある中で完璧なスティントをこなしても勝てない場合もありますが、完璧なスティントをこなさないと勝てる可能性は上がってこないと思っています。そう考えると今日のボクのスティントは評価出来るものではありませんでした。スタート直後はタイヤが暖まらず苦労しましたが、暖まってからペースは良く、ボク達にアドバンテージがあると思っていましたが、あのミスは反省しなければならない点です。しかし、車のバランスは良いので一層気を引き締めて次のレースを戦っていきたいです」

小林崇志選手のコメント

「序盤野尻は苦しい戦いをしていましたが、ボクにつないでくれるまでにポジションを上げてきてくれました。今回もセーフティーカー導入が多かったですが、2回目の導入で周回遅れになってしまったのはタイミングが悪かっただけですし、表彰台のチャンスもあったので諦めずにプッシュしました。しかし、後方からトップの車が迫ってきてしまい、ブルーフラッグを振られてしまったので譲りました。ペースが良かったので、そのまま譲らずに走り続ける事も出来たのですが、これもルールなのでトップに進路を譲りました。譲ってペースを落としている間に5番手の車に背後まで追い付かれてしまい、勢いがあったのでパスされてしまいました。それが非常に残念です。レース中のラップタイムは野尻もボクも良かったので、次につながる内容だったと思います」

メカニックの頑張りも残念な接触でリタイア

朝からSUGOは雨模様で、スタート直前のウォームアップ走行ではウェットタイヤのチェックを行う予定だった。しかし、ウォームアップの最初の周で高木はスピンをして車のフロントセクションの一部を破損してしまった。グリッドに着けるかどうか非常に厳しい状況だったが、メカニック達の迅速な対応で何とかスターティンググリッドに着く事が出来た。

高木はミスを犯したが、このスピンによりタイヤの特性を知る事が出来た。高木は2周目には3つポジションを上げ、速さを見せつけた。途中、他車のクラッシュにより、セーフティーカーが導入されたが、その後も1周1台ずつのペースでどんどん順位を上げていき、ついには3番手までポジションを上げる事に成功した。

しかし、3番手に上がり、2番手の車を抜きかけた時に相手がわずかに寄せてきて接触してしまう。その勢いで 高木はコースアウトしてしまった。接触の衝撃でリアサスペンションが折れてしまい、残念なリタイヤとなってしまった。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「ウォームアップで車を壊してしまったけど、メカニックが凄く頑張ってくれて何とかレースに間に合った。これはメカニックに感謝したいし、最高の仕事をしてくれたと思っている。レース内容は凄く良かったんだけど、今回は運が無かったね」

安藤博之エンジニアのコメント

「ウェットコンディションについては自信があったので、上位進出が狙えると期待していました。最初のスティントで高木さんに長めに走ってもらい、順位を上げていく作戦でした。途中までは作戦通りでしたが、接触があって残念なリタイヤになってしまいました」

高木真一選手のコメント

「ウォームアップではスピンして車を壊してしまいましたが、あのタイヤを履くのが初めてだったので、特性を掴めていませんでした。言い訳になってしまうかも知れませんが、このスピンがあったからこそ、レースでタイヤの限界を事前に知る事が出来たと思っています。タイヤの特性を知らずにスタートしていれば、きっと1周目にコースアウトしていたと思います。その後のペースもよくて、3番手まで順位を上げる事が出来ましたが、残念な結果になってしまいました。車の調子は良いので、次回の富士も勝ちを狙いに行きます」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「高木さんは21番手スタートから3番手まで順位を上げるという素晴らしい仕事をしました。結果は残念でしたが、車のバランスは非常に良かったと思っています。週末は色々な不運がありましたが、次の富士ではBMWはとても速いので頑張ります」