レポート Report

想定外の予選結果も、長丁場のレースを活かして明日は上位を狙う

前線を伴った低気圧の影響により、早朝の富士スピードウェイは暴風雨に襲われた。8時過ぎには雨風が弱くなってきたものの、今度は気温の上昇により濃霧が立ち込めた。この霧はなかなか収まる事がなく、午前のセッションはキャンセルされた。この影響により、午後に30分のフリー走行と、予選はノックアウト方式ではなく、20分の1セッションとなった。

午後には雨が止み、午後のフリー走行は完全なドライとなった。予選を見据えてこのセッションは野尻智紀が走行した。野尻は短いセッションで予選のセットを合わせこんでいったが、なかなか思い通りには行かなかった。4月に行われた鈴鹿のテストでは、徐々にパフォーマンスが上がる手応えがあったが、このセッションでは低迷してしまった。

予選が開始するまでにチームはセットを見直し、野尻に予選を託した。野尻は周りの様子を見ながら徐々にタイムアップしていった。終盤、残り2分のところで最後のアタックでタイムアップしたが、13位で上位進出とはならなかった。

しかし、ARTAはこの富士で12位スタートから優勝を飾った事があるので、諦めず明日のレースに挑みたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「開幕戦からNSX-GTの調子が良かったので、ここでもNSX-GTは速いかな、と思ったけど難しかったね。ウチはこのコースといつも相性がいいんだけど、明日は長丁場のレースだから、チャンスを探って順位を上げられるようにしたいね」

星学文エンジニアのコメント

「悪天候により午前のセッションがキャンセルになってしまい、予選も1回になったので、予選は野尻で行くことにしました。予選前のフリー走行も野尻で予選のセットを進めましたが、この結果だけで判断すると改善が出来ていないと思いました。明日に向けてセットの見直しをしたいと思います」

野尻智紀選手のコメント

「ボク達はウェイトを積んでいなかったので、もう少し上位に行けると思っていましたが、このポジションは想定外でした。明日は長距離のレースなので、このポジションからでも回復出来るチャンスはあると思っています」

伊沢拓也選手のコメント

「天候の影響により変則的なスケジュールでフリー走行や予選が行われましたが、難しいコンディションの中、野尻選手が良い走りをしてくれました。順位的に見ると良いポジションではありませんが、他のNSX-GTと比較するとそれほど悪いパフォーマンスでは無かったと思っています。明日はスピード的には苦戦すると思いますが、ポイントが獲れるよう諦めずに走ります」

完璧なセットアップで高木 クラス最多タイの13回目のポールポジション

濃霧の影響で午前のフリー走行はキャンセルになり、代わりに午後に30分のフリー走行と1回のみの予選に変更された。

午後には完全にドライコンディションになり、フリー走行で高木真一がセットの確認を行った。この時のポジションは1位。予選でポールポジションを獲得する期待が高まった。

予選が始まるとライバル車が次々とタイムを出していった。序盤はライバル車の様子を見ながら、ユーズドタイヤを履きクリアラップを探しながら高木はアタックに入っていった。車のバランスを見てからニュータイヤに履き替え、終盤にアタックを行った。セクター3でわずかにミスをしてしまい、もう1周アタックを続けた。高木は各セクターのトップタイムを更新し、見事ポールポジションを獲得した。高木にとっては13回目のポールポジションとなり、GT300クラスの通算最多タイに並んだ。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「真一は見事なアタックだったね。職人技だね。明日は当然優勝を狙っていくけど、長丁場のレースなので、ピット作業でミスをしない事が大切だね。ドライバーもミス無くレースを展開出来ればレースをコントロール出来るんじゃないかな」

安藤博之エンジニアのコメント

「午前のフリー走行が霧によってキャンセルになってしまいましたが、3月の富士のテストで良いセットアップが見つかり、最後までそのセットアップで行ったらポールポジションが獲れました。テストから積み上げていったセットが良かったのだと思いました。タイヤについても高いパフォーマンスを発揮出来ているので、レースの戦略を含めて優勝出来るようにしたいです」

高木真一選手のコメント

「テストの時から車のセットアップはチームが上手く進めてくれました。自信を持って1周目からアタック出来るほど車が安定していたので、ポールが獲れたと思います。このM6は富士と相性が良いので、リスクが少ない一番前からスタート出来るのはレースを進めるうえで重要だったと思います。ここでポールを獲るのが当たり前のような雰囲気があるので、結構プレッシャーもありましたが、ポール獲れて良かったです」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「悪天候によりフリー走行が少なくなって面白い展開になりました。高木さんが走行したが、ちょっとしたトラブルが出たものの、チームが解決してくれた。高木さんは素晴らしい仕事をしてくれてポールポジションを獲る事が出来ました。明日がとても楽しみです」

セットを見直しバランス改善、8位まで追い上げポイント獲得

チームは決勝に向けてセットアップの変更を行い、決勝前のウォームアップ走行でセットの確認を行った。セットアップの方向性が良かったのか、このセッションをトップタイムで終え、決勝に期待がかかった。

スタートドライバーは伊沢拓也。スタートから車のバランスは良さそうで、伊沢は1周毎にポジションをひとつずつ上げていった。7周目辺りから300クラスのラップダウンが出始めたが、伊沢は巧みにラップを重ね、10周目にはポイント圏内の9番手までポジションを上げた。その後も伊沢のペースは良く、前車の脱落もありルーティンのピットインまでに8番手までポジションを上げる事に成功した。

35周目にピットインした伊沢は、野尻智紀にバトンを渡した。野尻は10番手でコースに復帰し、45周目までに7番手までポジションアップ。その後の野尻のペースは良かったが、57周目にひとつポジションを落としてしまう。

燃料が軽くなってきたスティント終盤は更にペースが良くなったが、74周目に予定通りのピットインを行った。

伊沢は順位を落とす事無く、8番手でコースに復帰。ピットアウト後の3周目にはベストラップを記録し、前車を追っていった。伊沢のラップタイムはトップグループと遜色無かったが、前車を抜くまでには至らず110周のレースを8位で終えた。昨日の不調から挽回し、ポイント獲得の公約を果たした。


鈴木亜久里監督のコメント

「昨日の状態から考えると格段に良くなったね。チームが頑張って車を仕上げてくれたし、ドライバーも頑張ってくれた。ペースもとても良かったので、次のレースに生かしたいね」

星学文エンジニアのコメント

「昨日は色々な要因があってポジションが悪かったのですが、セットアップを見直して走ったところ、タイヤのレンジが合っていたというのもありますが、だいぶバランスも良くなりました。しかし、軽い状態でも8番手なので、まだまだトップとは差があると思いますので、テストで好調だった鈴鹿で挽回したいです」

野尻智紀選手のコメント

「最初のスティントで伊沢さんが順位をあげてきてくれたので、バランスが良いのだろうと思いました。ボクのスティントでも昨日よりバランスは良かったのですが、ライバルメーカーに比べるとまだまだ差があるので、もっと詰めて行かなければならない部分があると感じました。次回までに解析してもらい、次回のレースに生かしたいです」

伊沢拓也選手のコメント

「結果的にはポイント圏内まで順位を上げる事が出来ましたが、レース中のラップや戦略などまだまだ課題はありますが、今日出来る事はチームもドライバー2人も出来たと思います。悔しい部分もありますが、次につながるレースが出来たと思います」

ほぼ100点満点のレースで優勝! 高木は19勝目を挙げて最多記録を塗り替える

富士では相性の良いBMWだが、レース中にトラブルが発生しないようにメカニック達は入念に車のチェックを行った。車の調子は良さそうで、ウォームアップ走行でも何の問題も無く、決勝スタートを迎えた。

スタートは高木真一。高木は1周目から安定した速さで2番手以下を引き離し、一度もポジションを譲る事なく、セカンドスティントをショーン・ウォーキンショーに引き継いだ。

チームはノーミスでショーンをコースへ送り出し、8番手でコースに復帰。6周目にはトップに返り咲き、そのまま順位をキープ。

72周目に最後のピットインを行い、高木に託した。高木は終盤、ペースをコントロール出来るほどマージンを築き、集中力を切らす事無くトップでチェッカーを受けた。高木はこの優勝で19勝目となり、新田守男が持つGT最多勝の記録を塗り替えた。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「レースで100点満点というのは無いけど、このレースは限りなく100点に近いレースだった。トラブルが出ないかどうか心配だったけど、チームもドライバーも完璧な仕事をしてくれたね」

安藤博之エンジニアのコメント

「予選からレースに向けてセットアップをアジャストしてレースに挑みました。他の車両に比べて55号車はタイヤを含めてパフォーマンスが高かったので、良いペースで2番手以降にギャップを築けたのだと思います。次回も気を緩めずに準備したいと思います」

高木真一選手のコメント

「新田さんの優勝回数を超えてしまったので、怒られるかと思いましたが、パルクフェルメまで来てくれておめでとうと言ってくれたので、ジーンときてしまいました。最多勝は嬉しいですが、チームが良い車を作ってくれたおかげなので、それが無ければ達成出来なかった事だと思っています。今日は天候も良く路面温度の変化が心配でしたが、最初のスティントはタイヤに合っていたので、後続車を離す事が出来ました。ショーンもペースも良くて、ミスもなくボクにつないでくれました。最後のスティントは気温が下がっていたので、少々コントロールが難しくなっていましたが、それでも他車よりアドバンテージがあり、優勝する事が出来ました。タイヤのパフォーマンスも高く、チームも上手くセットを合わせてくれたので、この結果につながったと思います」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「ポールポジションから優勝出来て嬉しいです。高木さんの素晴らしい走りとチームのおかげで優勝出来たと思います。次回もガンバリマス!」