ギャラリー Gallery

ARTAの熱き戦いの瞬間や魅力を、オフィシャルフォトグラファー宮田正和氏が撮影した膨大な写真から、宮田氏自らが厳選した写真でお届けするオンラインギャラリーです。

その中から、まず最初に「匠の一枚」と題した究極の一枚をディティールと共にお楽しみください。

フォトグラファープロフィール

匠の一枚

「 The Greatest day 」

Comment

30年前、彼は自らの夢を追いかけていた。
世界の頂点を舞台に戦いを挑んでいた頃の彼の表情はもっと険しく、今のように柔和な笑顔なんて想像できなかった。
現役を退いて若手を世界の舞台に送り出すことを自らの役目として選び、チームを創設しチャレンジを続けてきた。彼の元を巣立ち日本のレース界で活躍している人材は多いのだが、なぜかジンクスのようなものがあり、彼のチームを離れたタイミングで活躍するドライバーが多かった。

だがそんな彼にようやく順番が巡ってきた。それもとてつもないほどの最高のプレゼントを伴って。
SGT Round 5 富士。なんと300クラスと500クラスでのダブル・ポールポジション、そしてダブル・ウィン。奇跡と言ってもいいような最高のプレゼントには彼も目を潤ませ、インタビューの言葉に詰まった。どれほどの喜びか…
30年彼のそばで写真を撮り続けてきた僕にもその喜びの大きさは理解できた。

モータースポーツはスポンサーの存在無しには成立ないカテゴリーだ。
当然スポンサーは結果を求めるのが自然だし、当然の権利でもある。
我慢して若いドライバーを使い続け、目の前に結果を出さなければその結果は彼に、そして彼のチームの翌年の活動資金という形に反映されるシビアな世界でもある。
だがそんな時、自らが盾となりドライバーを庇い、笑顔とジョークでスポンサーを納得させることもする。

レースの頂点とも言えるF1グランプリを戦い、モナコに住んだ彼は間違いなく成功者と言える。「もうやめようかな…」そんな言葉を彼の口から聞いたことがある。結果が全てと言われる勝負の世界でチームとして結果が出せずにもがき苦しんでいる時のことだ。現役を引退してまで苦しむのか?いや現役を引退したからこそ誰よりもドライバーの気持ちや心境が理解できるのだが、それと同時にスポンサーの要求も人一倍判っている。申し訳ない…次のレースは…幾度となく繰り返してきたその言葉。
だが今日ばかりは胸を張って彼らに感謝の言葉を述べることができるだろう。

この一枚は僕なりの拘りの一枚でもある。通常ならば前に回り全員が並ぶ写真を狙うべきなのだろうが、その瞬間僕はためらった。
普通の写真を撮りたいんじゃない、特別な一枚を撮りたいんだ!そう覚悟を決めると、多くのカメラマンとは違う後方から狙うことに。
結果的には人様のストロボの光を頂き、いいカットが撮れたと思う。
何かを得るために何かを捨てる覚悟、そして「運」が必要なのはレースでも写真でも同じこと。
僕のカットの中でストロボの光をもらえたのはこの一枚だけであった…

Details

BODY CANON EOS-1D X Mark II
LENS SIGMA 100-400mm DG OS HSM
SP 1/500
F 6.0

Gallery

Copyright © 2017 ARTA Project
写真の無断転載、複製などの二次利用、並びに商業目的の使用はご遠慮ください。
ご理解をいただき、ご協力くださいますようお願いいたします。